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2006.03.21

 現在    スクールカラー 赤に愛着 
 

「大学のスクールカラーである赤が一番好き」と、いつも赤い服を身にまとうミサカ(撮影・広重久美子)

 八十二歳のワット・ミサカは米国ユタ州のソルトレークシティー近くで、妻のケイティー(77)と暮らしている。白髪になっても、酒もたばこもたしなまない体は若々しい。長女ナンシー(42)や長男ヘンリー(37)、三人の孫たちにも囲まれ、穏やかな時間を過ごしている。

 ミサカは一九二三年にユタ州オグデンで生まれた。両親は広島県岩子島村(現尾道市向島町岩子島)の出身である。BAAのニューヨーク・ニッカーボッカーズ(愛称ニックス)での現役時代の話は、家族にもずっと伝えてこなかった。「大したことはしていない」と視線を落とす。

 一転、大学時代の思い出には冗舌になる。「ユタ大で、全米チャンピオンに二度もなった選手は、自分を含め三人だけ」と胸を張る。四四年の全米大学選手権(NCAA)と四七年の全米招待大学選手権(NIT)制覇が誇り。今でも、日系米国人で唯一の優勝経験者だ。BAAでは白人以外で最初の選手として、強豪チームのニックスにドラフト指名された。

 短いニックスでの選手生活の後、軍事工場のエンジニアとして働きながら、ボウリングとゴルフに熱中した。日系米国人のボウリングの発展にも力を注いだ。ボウリングのベストスコアは二年前の299。ゴルフでは七十一歳で71のスコアを出した腕を持つ。音楽好きで夫妻でオペラ鑑賞を楽しむ。

 母校愛は強い。ユタ大のバスケットの試合は年間シートを購入し、声援を欠かさない。スクールカラーの「赤」に身を包み、こぶしを突き上げる。根っからのバスケットプレーヤーである。

    



8月19〜24日 世界バスケ1次リーグ広島開催