中国新聞


瀬野小栄養士の森山康子さん
給食の裏側 HPで連載
感謝の心醸成目指す


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調理作業を撮影する森山さん(右端)。給食に掛ける手間と愛情を伝えたいという

 きょうの献立の写真に続いて、色鮮やかなホウレンソウやサツマイモなどの食材が山と積まれたカット。白菜を切る、湯気の立つ大鍋の中をかき混ぜるといった調理風景も交じる。瀬野小(広島市安芸区)のホームページ(HP)の「給食トピックス」コーナーだ。

 同小の栄養士森山康子さん(40)が、校内で作る給食をテーマに連載する。デジタルカメラを手に調理場を取材。毎日の給食献立を素材から調理作業まで紹介するHPは、市内では同小だけだ。

 連載のきっかけはHP担当教諭の「食育を発信できないか」との投げ掛けだった。初回の5月19日、食育の四つのポイントとして、栄養バランス▽食文化▽食の安全▽感謝の心―を掲げた。

 最も伝えたかったのは感謝の心。児童にとって給食は身近だが、立ち入りが制限される調理場は縁遠い場所だ。野菜の下ごしらえは大半が手作業で食べやすい大きさにカットしたり、昆布を一つ一つ星形に切り抜いたり。そんな調理の裏側を紹介したかった。調理員奥田雅子さん(46)は「作業を見てくれたら、しっかり食べてくれるかも」とHPに期待する。

 料理の説明も、ゆで上がりの目安や別の調味料を使ったバリエーションなど家庭での調理の参考になるよう配慮する。「岩国レンコンは穴が九つあって、普通のレンコンより多い」といったうんちくも盛り込む。「内容が深い」と保護者にも評判がいい。

 中国料理や揚げ物類が好きな子が多いが、バランス良く栄養摂取できる和食を食べさせたい。広島市ではいりこ、昆布、大豆の3品目の伝統的な健康食材を献立に定期的に組み込む。HPでもこの3品目に加え、切り干し大根やひじきなど児童が苦手な食材ほど何度も登場する。

 「『また切り干し大根か』と思われるかもしれないが、それが日常の食。献立はありきたりでも、家庭では入れない具が入っていた、同じ食材でもこれなら食べやすい、といったヒントを見つけてもらえたら」

 家庭での食育実践を期待し、丹念につづった給食の記録。今月3日で92回を迎えた。(澄田真)

(2010.12.5)

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