中国新聞


就学援助、最多ペースの1341人 生活保護受給も
2011年度、東広島市


   

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 長引く不況が東広島市の住民生活に影を落としている。家庭の経済的な困窮を理由に就学援助を受ける小中学生は本年度1341人(7日現在)と過去最多の昨年度とほぼ並んだ。生活保護の受給者も1265人(9月末現在)と高水準。円高が続けば自動車や半導体など製造業の雇用はさらに悪化しかねない。

 就学援助は、収入が少なく市民税非課税や生活保護などの世帯に学用品代や修学旅行費を補助する制度。市教委が本年度認定した児童、生徒は昨年度の1373人に迫り、全体の8・5%を占める。

 生活保護の受給者数も高止まりが続く。東日本大震災が起きた3月に過去最多の1293人になり、以後はやや減ったものの、9月から「勤務日数や給料が減った」などの相談が再び増えている。

 市福祉部は生活保護受給者の就職をサポートするため4月に自立支援相談員の勤務を週1回から3回に増やした。

 企業の雇用環境は依然として厳しい。広島西条公共職業安定所によると市内の有効求人倍率は8月末現在0・85倍。震災以降、マツダの生産が回復し持ち直しつつあるが、リーマン・ショックの影響が出始めた2008年9月から1倍を切ったままだ。

 歴史的な円高で基幹産業の製造業に雇用縮小の兆しも出ている。市内に国内唯一の量産工場を置く半導体製造のエルピーダメモリは生産の約4割を台湾に移す方針。自動車部品メーカーも厳しいコスト削減を迫られる。

 同安定所を職探しに訪れた男性(49)は「求人が少なく先がみえない。米国並みに失業率が悪化するのではないか」と不安をあらわにした。(境信重、安道啓子)

(2011.10.26)


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