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被爆者の「教師の会」が絵や写真を展示 '06/7/13


 ▽25日から中区で 平和の祈りストレートに

 被爆者である元教師たちの絵や写真などを展示する「もう一つの小さな平和祈念展」が二十五日から、広島市中区のNHK広島放送局ギャラリーで始まる。平和の祈りを込めて仕上げた「生きた証し」。子どもや若い教師たちに見てもらいたいと願う。(木ノ元陽子)

 「ひろしまを語り継ぐ教師の会」主催で約二十点を展示する。会長の松島圭次郎さん(77)=佐伯区=は、心に焼き付けた御幸橋での被爆体験を絵と詩で表現、題は「廣島が死による」。馬野和道さん(77)=中区=は灯籠(とうろう)流しの写真を出品。「流灯も 闇にかへりて 八・六ゆく」の句を添える。

 同会は二〇〇一年夏に発足。個々の被爆体験を共有し、若い世代に伝えていこうと、数人の退職校長でつくった。現メンバーは四十二人。例会や学校現場などでの証言活動を重ねる。

 平均年齢七十五歳。作品の中には亡き会員の水彩画や句もある。命ある限り、被爆者の目線で平和を訴えたい。言葉よりもストレートに伝わる絵や写真で。初めての企画に強い思いを込める。

 「継承」の難しさをメンバーはかみしめてきた。「現役のころは被爆体験を話したことがない」と口々に言った。平和教育の現場にも持ち込まれたイデオロギー。指導に政治的な偏りを感じ、運動とは一線を画したという。「公正で正確な証言を子どもたちに残せたか?」。現役時代にやり残した大きなテーマと、今向き合う。

 三十八人いる賛助会員はすべて現役教師。人数が増えないのが悩みだ。松島会長は「未来の平和を願い、被爆体験を次世代に託したい。まずは作品展に足を運んでほしい」と呼び掛けている。

 会場では、同時にテニアンの歴史を紹介する写真展も開く。無料。三十日まで。

【写真説明】絵や写真など自作品に平和の願いを込める松島さん(左から3人目)や馬野さん(右端)ら「ひろしまを語り継ぐ教師の会」のメンバー(撮影・福井宏史)


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