▽見学した施設、8割平和公園
広島大(東広島市)が、今春の新入生全員に実施した「平和アンケート」の結果をまとめた。大半が見学を義務付けられた平和記念公園(広島市中区)などの平和モニュメントを訪れ、九割以上が「継続して平和について考えたい」と回答。大学は二〇〇九年度に平和授業を必修化する方向で検討に入る。
世界初の被爆都市で建学した広島大が、平和を尊重する精神を伝えようと初めて実施。期限の六月末までに新入生二千四百八十七人のうち、83・6%の二千八十人が回答した。大学は「十―二十歳代の平和意識調査では例がない規模で資料価値は高い」としている。
見学した平和モニュメントは、大学が例に挙げた五施設のうち平和記念公園の割合が最も高く84・7%。大和ミュージアム(呉市)旧海軍兵学校教育参考館(江田島市)大久野島毒ガス資料館(竹原市)ホロコースト記念館(福山市)は6・9―1・0%だった。「その他」の3・9%には回天記念館(周南市)などが含まれていた。
十項目のアンケートでは「モニュメントを見学してよかった」が96・0%。「平和を考える機会になった」が93・8%、「継続して平和について考えたい」が92・1%と続いた。
一方で、大学が必修化を検討している平和授業について「受講したい」は63・1%で、講義内容の充実が求められる結果となった。
自由記述欄では、多くの学生が平和の大切さをつづった。
教授ら九人でつくる「平和に関する教育実施委員会」の布川弘委員長(総合科学研究科教授)は約三百枚のアンケートを読み「予想以上の高い回答率で、出身県を問わず学生の平和意識の高さを感じた」と強調。「平和授業は広島大の使命」とし、今秋までに必修化を正式決定する考えを示している。(下久保聖司)
    
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