福田康夫首相は六日、広島市中区のホテルで記者会見し、四月から新基準で審査が始まった原爆症認定について「より納得が得られる認定作業を進めたい」と述べ、審査する厚生労働省の医療分科会の委員に、司法関係者を増やす方針を示した。原爆症認定集団訴訟の原告側が求めている全面解決の道筋は示されなかった。
集団訴訟で四月以降も国の敗訴が続く中、首相は「行政と司法の隔たり」を認めたうえで、解消のための方策として、司法の立場をより重視する考えを打ち出した。
一方で首相は、新基準で「相当に幅広い認定が行われている」と強調。四カ月間に約六百人が認定され、既に昨年一年間の五倍に上っている成果への理解を求めた。しかし、原告側が要求する「原告全員の一括認定」や、積極認定の対象となる疾病の拡大など、認定基準の再改定には言及しなかった。
また、日本が米国の「核の傘」に依存しているのではないかとの記者団の問い掛けに対し、「わが国の周辺には核保有国がある。核の抑止力も現実的に必要なことではないか」との認識を示した。(道面雅量)
    
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