中国新聞社
2012ヒロシマ
'12/8/2
平和宣言「エネ政策を早急に確立を」 広島市が骨子発表

 広島市の松井一実市長は1日、被爆67年の平和記念式典(6日)で読み上げる平和宣言の骨子を発表した。福島第1原発事故を受け、市民の暮らしと安全を守るためのエネルギー政策を早急に確立するよう政府に要請。被爆者から募った体験談は「原爆で失われた市民生活」をテーマに3編を引用し、核兵器の非人道性を訴える。

 原発の是非には言及しない。記者会見で松井市長は「政府が国民的議論を進める中、私の判断が影響しない方がいい」と説明した。昨年の宣言で「エネルギー政策の見直し」を求めていた。

 一方で「核と人類は共存できない」とする故森滝市郎・広島県被団協初代理事長の言葉をあらためて紹介。「脱原発」を主張する声として昨年も取り上げた。

 東日本大震災と原発事故の被災者に励ましの言葉を盛り込む。67年前に被爆を経験したヒロシマと重なるとし「心は被災者とともにある」と呼び掛ける。

 政府に核兵器廃絶へのリーダーシップの発揮を求めるほか、広島への原爆投下直後に降った「黒い雨」の指定地域拡大に向けた政治決断も迫る。

 被爆者の体験談は昨年に続いて公募した。今回選んだ3編は宣言前半で引用する。津江本アヤノさん(87)=安芸区=は広島が廃虚と化した悲しみをつづる。遺体の収容作業をした中村博さん(80)=府中市、家族6人を失った中広富美子さん(83)=西区=の体験談と合わせ、原爆の悲惨さを訴える。

 式典は6日午前8時から始まる。原爆投下時刻の8時15分に黙とう。続いて松井市長が平和宣言を読み上げる。(田中美千子)


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