東京で原水禁系国際会議開幕

'98/8/2

 原水禁国民会議系の被爆53周年原水爆禁止世界大会の国際会議が 一日、東京都の調布市文化会館で始まった。五月に核実験を強行し たインド、パキスタンの代表ら九カ国十二人の海外代表を含む約二 十人が、核軍縮の在り方を議論した。印パ代表は両国民に反核の声 が広がりをみせていることも明らかにした。

 冒頭、原水禁の佐藤康英事務局長が「印パ両国が核武装化を進め ると使用される恐れが強い」と情勢分析。大阪大の黒沢満教授が核 兵器の照準外しを第一歩とする段階的な核軍縮のプログラムを示し た。

 これを受け、インドのジャーナリスト、プラフル・ビドワイ氏は 「核不拡散体制の矛盾が核実験強行論者に利用された。カシミール 分離問題は沈静化している上、中国との関係改善も進んでいる」と 報告した。

 パキスタン・カイゼアザム大のアブドゥル・ナイヤー教授は「パ キスタンの核実験は、経済的に貧しく技術が遅れた国でも、核兵器 製造できることを示した」と指摘、「世界の核軍縮が進まない限り 印パの核はなくならない」と、核保有国の軍縮努力を求めた。

 米国やロシア、英国の代表も「次期大統領選で候補者に核政策の 見解表明を促す」(米国ピース・アクションのジョ・アン・フラー 理事)など、自国の政府に核軍縮を迫る取り組みの必要性を強調し た。

 また、印パ両国の代表は記者会見で、「最近の世論調査では核実 験反対が七割以上になった」(インドのビドワイ氏)と話し、イン ドの数百人の科学者が政府に核武装反対の請願書を提出するなど、 反核運動も広がりつつあると報告。両国の平和研究者らが八月六日 に白いリボンを着け、大規模なデモを行う計画があることも明らか にした。

 国際会議は二日も開き、北東アジアの非核地帯化構想などをテー マに討論する。


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