誓う平和 原爆の日を前に2つの碑で慰霊祭

'98/8/5

 韓国人原爆犠牲者の慰霊祭が五日午前10時から、広島市中区堺町 一丁目の韓国人原爆犠牲者慰霊碑の前であった。在日本大韓民国民 団広島県地方本部(朴義鍾団長)が主催し、今回で二十九回目。遺 族や関係者ら約二百人が参列し、異国の地で死亡した同胞の死を悼 んだ。

 会場は、本川を挟んだ平和記念公園の対岸。この一年に新たに亡 くなった八人と、身元が分かった過去の犠牲者二百七十七人を書き 加えた死没者名簿を、韓国伝統の亀と竜をあしらった慰霊碑に奉納 し、全員で黙とうをささげた。

 追悼の辞で、県本部の朴団長は「インド・パキスタンの核実験は いかなる理由があるせよ国際世論の糾弾が避けられない」と、恒久 平和のための努力を誓った。最後に、民族衣装をまとった同本部婦 人会のメンバーが、慰霊歌を歌い、花輪をささげた。

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 高校生の被爆かわら発掘、保存運動をきっかけに建立された「原 爆犠牲ヒロシマの碑」の碑前祭が五日朝、広島市中区大手町二丁目 の元安川左岸であった。東京や埼玉の高校生を含む児童、生徒約三 百人が参列した。

 午前八時十五分、全員で黙とうをした後、児童、生徒を代表して 国泰寺高二年の渡部昌由さん(17)らが「被爆者の無念の思いと平和 への願いをいつまでも語り継いでゆきます」と誓いの言葉を述べ た。参列者は折りづるを碑にささげ、犠牲者のめい福を祈った。

 平和学習のため、米国ワシントンから来ている高校二年生マイケ ル・ギャランさん(17)は「多くの子どもたちが平和への思いを語る 姿に感動した」と話していた。

 

【写真説明】(上)韓国人原爆犠牲者慰霊碑に花輪をささげる朴団長(中央)ら=5日午前10時半、広島市中区堺町1丁目) (下)「原爆犠牲ヒロシマの碑」に折りづるをささげる参列者たち(5日午前9時55分、広島市中区大手町2丁目)


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