翠町中の千羽づる5800羽が焼ける

'98/8/5

 校内慰霊塔 悪質ないたずらか

 四日午後十一時ごろ、広島市南区翠四丁目、市立翠町中学校(大 馬邦人校長、九百十七人)の校庭内の慰霊塔に手向けてあった千羽 づる五千八百羽が焼失した。広島南署と市消防局は校内に侵入して 慰霊碑前を狙った悪質ないたずらとみて、調べている。

 慰霊塔があるのは、校庭西側のフェンス付近。焼かれた千羽づる は、慰霊塔の両側に立てられた二本のポールに分けて吊されてい た。七月初めから全校生徒と遺族で折り始め、四日、原爆で亡くな った同校職員や生徒ら二百十人のめい福を祈る校内慰霊祭で、生徒 たちが捧げたばかりだった。

 同校は、一九七一年から校内慰霊祭を実施。八八年から、修学旅 行で訪ねた長崎県内の中学生と交流の場をはぐくみ、千羽づるを交 換し合うなど、平和学習に力を注いできた。

 生徒会執行部の宇野友康委員長(14)は、「一折りごとに平和の祈 りを込めた千羽づるを灰にするなんて許せない。悔しいけれどあき らめずに、多くの人と平和の尊さを確かめ合いたい」と、慰霊塔周 辺の焦げた地面を見つめていた。

【写真説明】燃えた千羽づるの灰が痛々しい翠中学校の慰霊塔(5日午前7時30分)


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