印のビデオ作家が広島で撮影活動

'98/8/5

 「ヒロシマ、ナガサキを民衆に伝えたい」。国際的な映画祭で多 くの受賞歴があるインドのビデオ作家アナンド・パトワルダンさん (48)が、原水禁系の被爆53周年原水禁世界大会の海外代表として広 島を訪れ、平和運動や被爆者の姿をビデオカメラに収めている。

 四日から本格的に取材を始めたパトワルダンさんは、原爆資料館 や平和行進などを精力的に撮影。平和記念公園南側に建つ原爆犠牲 国民学校教師と子どもの碑前では、小学生に碑の説明をしていた被 爆者にレンズを向け、核実験への怒りの声に耳を傾けた。

 インドの政治腐敗問題や農民運動などをテーマにした作品を次々 に発表。山形国際映画祭などでの受賞歴も豊富な社会派として知ら れている。

 自国の核実験を機に、民衆の抗議活動の撮影を始めていた六月、 広島県原水禁が派遣した被爆者、武田靖彦さん(65)=広島市安芸区 =と出会った。「核兵器の恐ろしさをもっと広く伝える必要があ る」との思いが一致。世界大会に合わせて来日した。

 「核実験はショックだったが、それを歓迎する国民の姿はもっと ショックだった。民衆は核に対する無知を政府に強いられている」 とパトワルダンさん。「政府の圧力があるかもしれないが、反核ビ デオを完成させて世論を変えたい」と力を込めた。

【写真説明】平和記念公園前で被爆者にレンズを向けるインドのビデオ作家パトワルダンさん


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