ヒロシマきょう53回目の「原爆忌」
'98/8/6
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世界初の被爆地・広島は六日、被爆五十三年の原爆忌を迎えた。 広島市中区の平和記念公園で午前八時から、市主催の原爆死没者慰霊式・ 平和祈念式が営まれる。被爆者や遺族らが原爆犠牲者のめい福を祈 り、核廃絶、世界平和を願う。五月に核実験を応酬したインド、パ キスタン両国の駐日大使がそろって参列する。
式典ではまず、平岡敬市長と二人の遺族代表が原爆死没者名簿を 原爆慰霊碑に奉納する。この一年間で亡くなったり、死亡が確認さ れた被爆者は四千九百二十七人。名簿への搭載者総数は二十万七千 四十五人に上り、名簿は二冊増えて七十一冊となった。
四十一都道府県から参列する遺族の代表らに続き、小渕恵三首 相、渡部恒三衆院副議長、菅野久光参院副議長、宮下創平厚相、藤 田雄山広島県知事らが原爆慰霊碑に献花する。
原爆が投下された八時十五分、遺族代表の平岡可英さん(30)と子 ども代表の大芝小六年野間えり子さん(11)が「平和の鐘」を打ち鳴 らす。それに合わせ、参列者全員が黙とうする。市内各所や寺院か らもサイレンや鐘が鳴り響き、原爆死没者のめい福を祈る。
続いて、平岡市長が平和宣言を読み上げる。インドのシッダール タ・シン、パキスタンのトキール・フセイン両駐日大使を前に、核 実験応酬への憤り、核軍備競争誘発の懸念を表明。核保有五カ国が 核軍縮に取り組んでいない現実を指摘し、核兵器使用禁止条約の締 結交渉を始めるよう世界各国に求める。
この後、広島市内の男女の小学生二人が「平和への誓い」を読 み、被爆体験の継承や世界の子どもたちとの連携を通じて平和をつ くり出す努力を誓う。
【写真説明】核拡散の危機に直面する中、被爆53年の原爆忌を迎える原爆慰霊碑と原爆ドーム。参拝の列が絶えない(5日午後5時30分、広島市中区の平和記念公園)
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