99.5.8
![]() 社民党衆院議員 ピースボート創設者 辻元 清美さん |
![]() 〈下〉 |
![]() 大田平和総合研究所主宰 前沖縄県知事 大田 昌秀さん |
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「育てたい政策提言能力」
コソボを見たらわかるでしょ。武力行使は何の解決にもならない、日本の平和憲法こそが大事だと。そんな私の信念は、大学生だった一九八三年に設立したピースボートで学んだ。 船中で各国の若者と交流しながらアジアに行き、戦争体験者の話を聞いた。なぜあの戦争が行われ、日本の憲法ができたか実感してきたつもり。 ただ当時は「新人類」と呼ばれ、政治に無関心と批判された。私たちも、政治にかかわると何か汚れるような気がして、意識的に遠ざかってきたように思う。 でも、国会議員になって見方が変わった。この国会は与党とそれを支える利害団体で占拠されている。ならばNGOも政治の場で勝負しなきゃ。欧米のようにロビー活動の力、政策提言能力を身につけないと世の中は変わらない。 私たちも、非営利組織(NPO)の活動に免税措置がないので、自民党議員らも巻き込んでNPO活動促進議員連盟を旗揚げし、側面支援するつもり。 ハーグの会議にはピースボートの仲間とともに土井たか子党首が参加。(1)正義の戦争はない(2)日本国憲法を世界に広める(3)NGOの連帯―を力説してほしい。 |
「民意で自治体動かそう」
日米安保条約にも地位協定にも「沖縄に米軍基地を置く」とは書いていない。なのになぜ、今の沖縄の状況が変わらないのか。 日米防衛協力のための新指針(ガイドライン)が新たな不安を住民に押し付ける。ベトナム戦争当時の米国防長官だったマクナマラ氏は後に「米国は間違っていた」と認めた。米国の戦略を見極めもしないで、日本が戦争協力していいのか。 政府は、戦争の犠牲になる市民の声を聞いてくれない。そんな実感が強い。 基地のない平和な沖縄をつくりたい。民衆の力で沖縄を、日本を変えたい。私はその民衆の力を信じる。 知事当時、米軍施設の拡大に、沖縄戦を生き延びた女性が座り込んで反対したことがある。私も司令官に掛け合い、拡大をやめさせた。民衆とともに自治体が動かないとだめだ。市民の暮らしこそ大事だと訴えるべきだ。各地との交流や支援など自治体ならではの平和外交の可能性も大きい。 ハーグの会議には沖縄の女性活動家たちが参加する。その熱意が心強い。私も例えば、武器輸出国の非政府組織(NGO)市民団体がその取引監視にどう取り組んでいるのかなど、大いに議論してみたい。 |
〈NGOの反核運動〉最近の動きで特筆されるのは「アボリション(廃絶)2000」。95年、NGO間での核拡散防止条約(NPT)延長問題をめぐる議論を契機に、核兵器廃絶条約の2000年までの締結などで合意、連帯して運動している。欧米のNGOが核兵器の凍結でなく、廃絶を明確に打ち出した点で画期的とされる。参加NGOは昨年5月時点で76カ国の1068団体(平和資料協同組合調べ)。 |