毎年、広島でコンサートを開くようになり、その度に原爆養護ホームを訪ねています。
そのとき、あらためて感じるのは、がんなどいまだに放射線後障害に苦しむ被爆者が多いという事実です。原爆は爆風や熱線による瞬時の巨大な破壊力だけでなく、放射線被曝(ばく)という目に見えない形で、人びとや他の生物の命を長年にわたってむしばんでいくのです。
戦争を繰り返してきた人類は、第二次世界大戦中に「究極の兵器」と呼ばれる核兵器をつくり出し、それを広島と長崎の上空で炸裂(さくれつ)させました。人類を破滅に導く核兵器の使用を三度許してはならないのです。その悲劇を体験した日本人には、世界の人びとに核戦争が何をもたらすかを伝える義務があります。
国際社会という「地球村」は、今なお核兵器の脅威やテロ、戦争といった暴力に支配されています。そのことに不安を抱いている人びとがたくさんいます。こういう時代だからこそ、日本人は平和国家としてのありようを世界に大きくアピールしなければなりません。
被爆体験に根ざした「ヒロシマ」のメッセージを人びとに繰り返し繰り返し伝えること。継続する営みが、人から人へと世界をやがて平和な世界に変えていく力になると信じています。
【写真説明】南こうせつさん 歌手(54)
   
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