【ハルビン26日西本雅実】広島世界平和ミッション(広島国際文化財団主催)の第二陣は二十六日、北京から列車で中国東北部の黒龍江省ハルビンに着き、旧日本軍細菌戦部隊の跡地にある「侵華日軍第七三一部隊罪証陳列館」を訪れ、化学兵器の開発と爪跡(つめあと)の実態に触れた。
市民参加の四人は、ハルビン市政府の発掘・保存工事で三年前に一新された陳列館で、研究員の馬天龍さん(26)から日本語で説明を受け、人体実験で中国人らに細菌を注射した道具や、最後は人体を焼いたというボイラー室などを見て回った。
馬さんは「ペスト菌、コレラ菌は実戦で散布された」と、部隊の記録や証言を基に、日本が自らの歴史に目を背けない姿勢を求めた。書家の井下春子さん(72)=広島市南区=は「人間性を失わせる戦争の狂気、世界で今も続く化学兵器の開発の恐ろしさを、あらためて突きつけられた」と熱心にメモを取っていた。
一行は二十七日、部隊が周囲の村にペスト菌を散布し、家族を失った男性と面談。その後、南京に向かう。
【写真説明】七三一部隊が敗戦前に爆破したボイラー室跡で、馬さん(右)から説明を聞く平和ミッションのメンバー(撮影・荒木肇)
   
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