報道の公正さと透明性を高めるための「中国新聞 読者と報道委員会」の第九回会合が二十七日、広島市中区の中国新聞ビルであった。被爆地の新聞社として一貫して取り組んでいる原爆・平和報道をめぐり、委員三人と中国新聞社の編集局幹部らが意見を交わした。
委員は、山口県周東町文化会館館長の川口尚子氏、弁護士の増田義憲氏、広島修道大法学部教授の菱木一美氏。小野増平編集局長の司会で議論に入り、社会・経済グループの担当記者がこの夏の原爆・平和報道のねらいや概要を報告。田城明特別編集委員は、広島国際文化財団が主催し記者が同行して各国を回っている「広島世界平和ミッション」の取り組みについて説明した。
委員からは「原爆被害を掘り起こして記録するのが被爆地のメディアの使命であり、継続こそが重要」「例えば被爆者と子どもたちの往復書簡を自筆交じりで掲載するなど、読ませる工夫があっていい」などの意見が出た。原水爆禁止運動をルポした連載には「運動の課題や今後の方向性に提言を突きつける厳しい視点がほしかった」との注文があった。
被爆者や若者らが各国で平和を発信するミッションについては、原爆被害と日本の戦争加害の歴史が今も相克する実情を描いた中国・韓国編の連載に対し「ありのままの書きぶりが現状をよく表している」と評価する意見があった。ミッションを支える市民レベルの取り組みがさらに広がるよう期待する声も出た。
9月1日付朝刊に詳報を掲載します。
【写真説明】原爆・平和報道について議論した「中国新聞 読者と報道委員会」の第9回会合
   
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