■広島市立大広島平和研究所 浅井基文所長
万人に響く訴え 目標に
戦争や核兵器は「絶対悪」との発言があった。私たちには自明の理だが、日々の営みを通じ、万人が納得できるようにしなければならない。
ヒロシマの訴えが説得力に欠けると、「風化」がさらに進む。いくら世界から期待されても、「国内も説得できない」と位置づけられれば、大海の孤島となってしまう。
では、どうすればいいのか―。被爆者も含め、自分の問題として踏み込んで考えることだ。タブーをつくってはいけない。当たり前と思ったら思考停止になる。
今日はこれだけの人数が集まった。ぜひとも誰かがイニシアチブを取り、参加者のネットワークを作ってほしい。未来に向け何をするかを相談し合う貴重な場となるに違いない。
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あさい・もとふみ 63―90年、外務省で中国課長や地域政策課長などを歴任した。東京大、日本大、明治学院大教授を経て今年4月から現職。国際関係論。63歳。
■九州大大学院 直野章子助教授
心のつながり力にして
「平和ミッション」も「未来への伝言」も、一方通行ではなく、顔の見える対話を重ね、互いの共通項を探る大切な取り組みを実践してきた。
ミッションでは、ヒロシマの実態が世界に伝わっていないことを実感し、歴史観の違いという壁にもぶつかった。伝言では、平和教育を受け身でしか聞いていなかったため、実際に被爆者がどんな思いを抱えて生きてきたか分からなかったとの反省も出た。
「被爆者の思いを心で受け止め、自分のできることにつなげていきたい」。双方の若者による体験継承への決意表明に、被爆者も勇気づけられたと思う。一緒にやっていく仲間は大切。この場でできたつながりを今後も続け、ヒロシマのエネルギーにしてほしい。
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なおの・あきこ 95年に米アメリカン大で原爆展を開催。カリフォルニア大大学院で社会学博士号を取得。被爆者の体験聞き取りを続ける。今年4月から現職。33歳。
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