アジア・アフリカからの報告 原子力を問う
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脱原発の行程

既設6基 17年までに
 台湾が進める「非核国家」政策。第四原発の工事中止か再開かをめぐって立法院で紛糾した末、二〇〇一年二月十三日に民進党と国民党の間で「非核国家確立の目標を目指す」として最終合意したものだ。〇三年五月には原発廃止スケジュールも盛り込んだ「非核国家推進法案」について行政院が閣議了承しており、その政策が少しずつ具体化し始めている。
 推進法案は、全二十二条で構成されている。「政府は国内資源の構造を調整し、原子力発電によるエネルギー配分の比率を下げ、徐々に原子力発電を停止する」「原子力発電所の新規建設は禁止する」「既存の原子力発電所は、発電量が予定の総発電量に達した段階でその運転を永久に停止し、法律に基づいて廃炉計画を提出する」―などが主な内容だ。
 原発の具体的な廃止スケジュールは、第一(金山)原発は二〇一一年、第二(国聖)原発は一四年、第三(馬鞍山)原発は一七年。それぞれドイツと同様に運転開始から三十二年程度で停止するよう規定している。
 ただ、実際に廃止するための前提条件を設けているのも特徴。停止後七年間は電力の予備率が15%以上を維持し、電気代の値上げも15%以上にならない―ことなどだ。それが満たされない場合は、廃止措置は取られないとしている。
 推進法案が立法院をいつ通過できるか、まだ見通しは立っていないが、陳政権はこれを基本法とし、リサイクルエネルギー発展条例、原子力発電所の事前停止条例など新しい法律、条例の制定を積極的に進める構えだ。

廃棄物問題は手付かず
 現在、電力供給の二割以上を占める原子力の代替エネルギー確保も重要なポイントで、天然ガスや新エネルギーで賄うことを検討している。
 「非核国家」の実現に向けては、法律面だけでなく、推進組織も設けて準備を進めている。
 二〇〇二年十月、原子力委員長に当たる行政院原子能委員会主任委員の欧陽敏盛氏を召集人として非核国家推進委員会を設置。九人の民間代表と八人の各省庁トップで構成する。
 「非核国家」に向けて動き出した陳政権だが、一方で手付かずの課題も抱えている。原発の運転・補修などの過程で生じる低レベル放射性廃棄物や使用済み燃料の高レベル放射性廃棄物をどこに保管・埋設するかという最終処分問題だ。
 低レベルについては一九八二年から九五年まで、南部の蘭嶼島にドラム缶九万七千六百七十二本分を運び込んだが、地元島民の反対で撤去しなければならなくなった。台湾電力公司はほかに候補地を探しているが、狭い台湾本土で探そうにも難しい状況だ。
 使用済み燃料は、再処理せず各原発の貯蔵プールで四十年間保管。その後、地下深く埋める深地層処分する計画である。二〇一八年までに候補地を決定し、二四―三二年で処分場建設というスケジュールを描いているが、低レベル以上の難航が予想されている。



民進党と国民党が激しく対立する立法院。この日も議員同士のもめごとで支持者やマスコミが集まった(2003年11月7日)
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