各国各様 対応を急ぐ
アジア・アフリカで原発を持つ日本、中国、韓国、台湾、インド、パキスタン、南アフリカの七カ国・地域のうち、使用済み燃料を再処理する核燃料サイクルを手掛けているのは日本、中国、インドの三カ国だけだ。使用済み燃料や再処理の過程で生じる廃液などの高レベル放射性廃棄物の最終処分場を決めた国・地域はまだなく、原発の運転に伴って増え続ける高レベル放射性廃棄物への対応が急がれる。
核燃料サイクルを推進する中国は、ウラン濃縮工場を甘粛、陜西、四川省の三カ所に設け、燃料加工工場も四川省に置いている。使用済み燃料の再処理では、二〇〇〇年に年間五十トンの処理能力を持つパイロットプラントを甘粛省に建設。二〇二〇年ごろには、青森県六ケ所村の再処理工場に匹敵する年間八百八十トンの処理能力を持つ商業用プラントを建設する計画にしている。
再処理によって生じる廃液や利用できない核分裂生成物などの高レベル放射性廃棄物は、ガラス固化体にして地下深く埋める地層処分にする予定である。最終処分場の候補地としてゴビ砂漠が挙げられており、二〇四〇年ごろから稼働させる計画という。
一方、中・低レベル放射性廃棄物については、二〇〇〇年に広東省の大亜湾原発から五キロ離れた北龍に処分場を設置。原発二十基の廃棄物を四十年間受け入れる能力がある。甘粛省にも同様の処分場を設けている。
インドは、国内に豊富なトリウムや天然ウランを利用する重水炉を中心に独自の核燃料サイクルを築いている。一九七九年稼働のタラプールを手始めに、トロンベイ、カルパッカムの計三カ所に再処理工場を設置。処理能力はそれぞれ年間百―三十トン。高レベル放射性廃棄物はガラス固化体にしているが、最終処分場の候補地は未定だ。
パキスタンは廃棄物の処分などは研究段階である。一時、フランスに再処理を委託しようとしたが、核開発疑惑などからフランス側から契約を破棄された。ひそかに技術情報を手に入れ、再処理を手掛けた可能性も指摘されている。
南アフリカは、使用済み燃料をクーバーグ原発で保管中で、再処理せずに使い捨てにするワンススルー方式だ。中・低レベル放射性廃棄物は四百キロ離れたバールパッツで埋め立て処分している。
韓国の使用済み燃料は現在、六千三百トンある。各発電所で保管中だが、二〇一六年には貯蔵容量を超えてしまうため、政府と韓国水力原子力会社は中間貯蔵施設の建設を目指している。蝟島の中・低レベル放射性廃棄物処分場に併設する考えだったが、処分場計画が事実上頓挫し、中間貯蔵施設も宙に浮いた形だ。
台湾も使用済み燃料を各原発で保管している。地中深く埋める深地層処分を実施するため二〇一八年までに最終処分地の選定、二〇二四―二〇三二年で処分場建設―とのスケジュールを描いている。
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