中国新聞

  (四)おさんぎつね 



 街路樹のかげで、がしゃがんでいていた。

「どうしたの」

 をかけると、がって、ほら、と自分さした。

「ころんじゃったの」

けないの?」

「いたいわ、いたいわ」

 きながらった。

電話をしておうちのにむかえにきてもらいなよ」

「おうちのはいまいないの」

 場所をきくと、さっきった、あのだとう。

 ではなく、んでいたんだ。

 をかけた以上、このままほおっておくわけにもいかないかなあ と、自転車ろにすわらせた。

「しっかりつかまってなよ」

「わたし、自転車るのはめてよ。ってみたかったの」

 はうれしそうにって、につかまった。

 をきくと、だという。

学校だったら、二学期にまたえるかな」

 うと、がおかしいのか、「うふふ」とった。

 けがをしたことはわすれたように、はすっかりきやんでいた。

 は、さっきってきたをもどっていった、つもりだった。

 んだ路地何度がると、あのるはずだ。

 だけど……

 なんだかようすがおかしい。

 がっても、がっても、いつものない。

 いもかけないちがう場所てしまう。

 こんなはずはないぞと、自転車のハンドルをにぎりなおす。

 にはをかいていた。

 は、わかっているつもりので、ったらしかった。

まえのページへ
ひょうしへ
つぎのページへ