平和の心 被災地で脈々 日本最古のモスク | '02/1/16 |
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民族を超えた祈りの輪。礼拝が終わると手を取り、抱き合う。(神戸市中央区) |
静寂を破ってコーランの一節が響き始めた。イマーム(導師)に従い、数百人が一斉にひざまず
く。額を床につけて祈りをささげる。その先に、遠くメッカがある。
神戸の異人館街に位置する日本最古のイスラム教寺院「神戸ムスリムモスク」(一九三五年築)。
毎週金曜日、関西一円から教徒が集い、礼拝する。
「争いや無念の死のない世界は必ず訪れる」「皆が他者への畏敬(いけい)の心を持ち合えば世
界は変わる」。堂を出て、話を聞いた。にこやかだった男の目が、遠くを見詰めるまなざしに変わ
った。
阪神・淡路大震災から十七日で七年がたつ。家族や仲間を失った教徒がいる。米中枢同時テロで
揺れるアフガン情勢にも思いが募る。
宗教、民族、国を超えた人間の幸福―。アラビア語で「平和」を意味するという「イスラム」の
心は、被災地・神戸で、脈々と生きる。
(写真と文 宮井和弘=神戸新聞)
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