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活気戻った街 夢見て 名古屋・ホームレス'02/1/19

燃える炎に照らし出される男性。暖を背中に受け、夜遅くまで座り込んでいた(名古屋市中村区)
祈りの風景  「ない、ない、ない。一昨年はまだ仕事、あったんだよ。昨年は本当になかった。今年はもっとダメだね」

 路上生活者(ホームレス)がたき火で暖をとりながら、口をとがらせた。JR名古屋駅など高層ビルに囲ま れた都心の一角にある「西柳公園」。

 名古屋市の調べでは、都心の公園を中心に、市内のホームレスは約千三百人。だが、「そんな数じゃない、 もっともっといっぱいおるし、どんどん増えとるよ」。普通のサラリーマンが、ある日突然失業し、ホームレ スになってしまう時代。「人ごとじゃないんだよ」

 輪の中のから声が上がった。「みんな生き方が不器用なんだ。本当に悪いやつなんて、ここにはおらんし、 おられん」

 三十代半ばの一人がぽつりと言った。「僕は夢持ってるよ。活気ある名古屋。いつかそうならなきゃいかん はず」

 「いつか…」。それは、自分自身に向けた言葉でもあったのだろうか。

写真と文 梅田竜一=中日新聞
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