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豊穣と「嫁」神に感謝 米沢・裸もちつき'02/1/23

唄に合わせ、千本杵(きね)で威勢良くもちを天井に突き上げる若者たち(山形県米沢市)

祈りの風景  「持ち上げろ、上げろ、天竺(てんじく)までも―」。独特のふし回しの唄で、つきたてのもちが 勢い良く掲げられ、天井に達した。

 山形県米沢市にある千眼寺(せんげんじ)の保呂羽(ほろは)堂で毎年十二月四日に催される「裸 もちつき」。さらしに鉢巻き姿の男たちが一日がかりで約九百キロのもちをつき、参拝客に振る舞う。

 江戸時代の初め、農作物の病害虫に悩む農民が、神のお告げで、保呂羽堂の縁の下の土を田畑にま いたところ、虫が逃げた。これに感謝し、寺にもちを納めたのが始まりと伝わる。

 もちのつき手は地元の若者たち。天井までもちを突き上げるのは、五穀豊穣を祈って天高く神にさ さげるという意味がある。すすが付いたもちほど御利益があるという。

 「町が活気づくよ。若い衆に嫁も来るようになった。お保呂羽さまのおかげだ」。もちつきを眺め る古老がほほ笑んだ。

写真と文 佐藤正之=河北新報
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