中国新聞オンライン
平和とは 暗やみで問う 沖縄・ガマ '02/1/25

平和ガイドの案内でガマへと下りる高校生ら。この日は北海 道北海高校の2年生約40人(沖縄県糸満市)
祈りの風景  「子ども、女、お年寄りなど、戦争では一番弱い人たちが最初に 犠牲になります」。 平和ガイドの武内恵子さん(53)は、修学旅行で ガマ(自然壕(ごう)を訪れた高校生た ちの前で語り掛けた。戦時 中、ガマで泣きやまない幼児を日本兵に刺し殺された母親が いた。「悲しみと怒りにあふれながらも、わが身を守るためじっと耐える しかなかった」 と顔をゆがめた。暗闇の中に嗚咽(おえつ)が漏れ た。時折、鍾乳石からの水滴が体を 濡らす。

 沖縄には石灰岩の自然壕が至る所にある。沖縄戦では多くの住民 や兵士が避難。そこ で米軍に追い詰められ数々の悲劇が生まれた。

 戦後五十七年目。今、平和学習のため全国各地からガマを訪れる 人たちが後を絶たな い。

 高校生たちは、一時間足らずの追体験でそれぞれが、何かを感じ 取った様子。外は澄 み渡った青空とまぶしい陽光、心地よい北風が 吹いていた。

(写真と文 高里宏志=琉球新報)
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