核なき世界へ讃美歌脈々 長崎・女子大礼拝堂 | '02/1/26 |
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扉を開けると静寂の世界が広がる。長い歴史の中で、さまざ まな人たちの祈りを見守ってきた礼拝堂(長崎市)
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年輪を重ねた長いす。がっちりと渡されたはり。窓から差し込む やわらかな冬の陽(ひ)が、
女子学生たちを優しく包み込む。長崎 市東山手町の活水女子大・短大礼拝堂。喜び、悲しみを心
に刻み、 青春を駆け抜けた乙女らの祈りを見守ってきた。
キャンパスは石畳のオランダ坂を登り詰めた丘に広がる。米国人 宣教師エリザベス・ラッセル
が一八七九年、女性の自立を目指し、 九州初の女学校として創設した。大正時代に建てられたゴ
シック風 の校舎、芝生に根を張る巨大なモミノキが歴史を物語る。
長崎は先の大戦で深い傷を負った。礼拝堂も窓や屋根が壊れ、学 徒動員され帰らぬ人となった
学生もいる。その死を悼み、核なき世 界へ願いを込めて、賛美歌が歌い継がれてきた。
幕末の志士・坂本龍馬は新生日本を夢見て、この地に足を踏み入 れた。学生たちも未来への夢
を膨らませ、やがて安らぎを与えてく れた祈りの場を巣立っていく。
(写真と文 井上まき=西日本新聞)
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