中国新聞オンライン
森の幼稚園'09/11/19

クリ林の中で、絵本を読む子どもたち。豊かな自然が感性を磨く
学びの風景




 ▽自然に包まれすくすく

 森。その恵みに、人は生き物とともにはぐくまれてきた。

 新潟県上越市郊外に、里山を拠点に幼児保育をするNPO法人「緑とくらしの学校」がある。法人が運営するのは「森のようちえん てくてく」。

 2006年から本格的に保育を始めた。特定の園舎はない。全国でも先駆的な取り組み。「森や田畑を学びの場に一日を過ごす」という趣旨に賛同した個人から土地を借り、現在は3〜5歳児21人が通う。

 雨でも雪でも毎日、午前は畑や田んぼを散歩。子どもたちはキツツキのひなの成長や、死んでしまったカナヘビから、命の重みを感じ取る。

 お仕着せの遊具がない森での遊び方は自由自在。珍しい形の木があれば登ってみる。幹のすき間に足が挟まっても何のその。次はどこに足を掛ける? 予測と決断を繰り返す中で、観察する力、考える力、やり通す力が養われていく。

 スタッフも「危ないからやめなさい」とは決して言わない。「心を開放して、思いを外に出せる環境にすることが役目。ケンカもしょっちゅう」と園長の小菅江美さん(38)。森の中で日ごとたくましさを増す子どもたち。まさに1日生きることは、1日分成長することだと思わせる。

(写真と文・坂井有洋=新潟日報)



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