高校生レストラン | '09/11/25 |
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炎を豪快に上げてステーキを仕上げる高校生シェフ
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▽お客が先生、週末修業
開店前から100人もの客が行列をつくる人気のレストランが、人口1万5千人の三重県多気町にある。整理券を手に門をくぐると、だしの甘い香りが漂う。「いらっしゃいませ」。声の主は高校生だった。
山あいにあるレストラン「まごの店」。同町の県立相可高校食物調理科の生徒42人が切り盛りし、松阪牛をはじめ地元の山海の恵みで客をもてなす。営業は授業のない土、日、祝日のみと高校生らしい。
「学校にはない修業の場。代金をもらう意味を知りなさい」。村林新吾教諭(49)の鋭い視線の先で、こんろの炎で顔を真っ赤にした生徒がフライパンを動かす。接客係は笑顔で食事を運び、レジでは客との再会を願って深々と頭を下げる。
「地産地消に役立ち、社会勉強の場になれば」と、自治体や地域の支援で7年前に生まれた。体裁はクラブ活動だが会計は独立採算制で、味はもとより接客や経営手腕も厳しく問われる。
プロの顔つきで、部長の3年生、中桐梓さん(18)は言う。「店ではお客さまも先生。苦情や指摘が糧になります」。満足そうな顔で店を埋めるのが目標だ。料理人の卵たちは、その先に大きな夢を膨らませる。
(写真と文・佐藤春彦=中日新聞)
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