仲間はずれのない幼稚園 | '09/11/26 |
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開放感のある屋上。子どもたちの歓声が飛び交い、笑い声がはじける
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▽「区切り」なくし一体感
園内へ足を踏み入れると、目線の少し上を元気いっぱいに走り回る園児たちの歓声が出迎えてくれた。午前9時。教室から屋上へ飛び出した園児たちが運動会のリレーのように追い駆けっこする。東京都立川市の「ふじようちえん」(園児数約600人)。毎朝の光景だ。
園庭を囲むように建つドーナツのような楕円(だえん)形の園舎。平屋。園庭に面した教室は仕切りを外すと、ぐるっと1周できる。建てる前からそびえていたケヤキの木が突き抜けた屋上へも、階段と滑り台で自由に上り下りできる。1周180メートル。
「行き止まりがないので、よく走る。この園舎の形が仲間外れをなくした」と加藤積一園長(52)。園庭に立てば全体を見渡せ、隠れる場所もない。お互いに目が合い、声が聞こえ、一体感が生まれる。逆に部屋で区切られると目が届きにくく、子どもの動きも止まり、仲間はずれが生まれやすいという。
屋上に遊具などは置いていない。園児自ら遊びを想像する。「園舎自体が育ちの道具」と加藤園長。「幼稚園は集団や社会の中へ入っていく第一歩。自立心を養ってほしい」。
(写真と文・川柳晶寛=東京新聞)
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