京町家キャンパス | '09/11/28 |
|
 |
110年以上の歴史を誇る京町家で講義を受ける学生たち。授業は正座で始まり、顔も引き締まる
|
▽文化の本物にふれる
藺草(いぐさ)の香る和室で、学生たちが足を折り畳んで机に向かう。着物姿の先生が講義をする。格子戸や障子、坪庭。風情溢(あふ)れる京町家での授業風景は寺子屋のようだ。
昨年4月、京都学園大が京都市中京区百足(むかで)屋(や)町に、白生地問屋だった商家の店舗部分を借りて京町家キャンパス「新柳居(しんりゅうきょ)」を開いた。町家を「生きた教材」として、授業は「日本の文化」や「京都の文学」などの科目を並べ、週末には市民講座も開いている。
景観保存に深くつながる町家は、保全や再生に向けた活動が盛んだ。町家の持つ魅力に注目が集まり、複数の大学が改築してキャンパスとして利用し始めている。
町人文学を教える山崎芙紗子教授(56)の授業は、正座で始まる。畳を傷つけないために素足で上がらない。白足袋のかわりに白靴下をはく。京町家には決まり事が多い。だが「この心遣いが、社会に出てからも役に立つ」と山崎教授は言う。
本物に触れて学ぶ学生たちには「京都ならでは」「貴重な体験」と好評だ。3年生の日添朝美さん(20)が「先生と同じ目線で、質問もしやすい」と話せば、教授も「反応がよくわかっていい」と、和の空間が授業の雰囲気づくりに一役買っている。
(写真と文・水澤圭介=京都新聞)
Menu Back Next
|