中国新聞オンライン
校内水族館'09/11/30

放課後、水槽の手入れをする自然科学部の部員
学びの風景

 ▽心はぐくむ生きた教材

 愛媛県西部を流れる県内最大の大河、肱(ひじ)川(かわ)。大洲市長浜の県立長浜高校(106人)はその河口にあり、生徒が校内では珍しい水族館を運営している。

 長高水族館は、日本初の高校内水族館として1999年1月にオープンした。大小100以上の水槽に、肱川流域や伊予灘、宇和海、熱帯などの生き物約150種類を展示。カクレクマノミの繁殖も手掛ける。

 世話をしているのは自然科学部の部員13人。放課後、水槽の掃除や水の入れ替え、餌やりなどに汗を流す。毎月第3土曜日には一般公開し、部員が来場者への説明役もこなす。3年生の入舩誠部長(17)は「魚の知識が豊富になり、命の大切さも学ぶ」と話す。

 2003年度からは水族館を活用した理科の授業「マリンアクアリウム」を導入。2年の生徒全員に水槽が与えられ、学校近くの海岸で採集した生き物を飼育し、研究する。担当の門田将和教諭(34)は「ほかの教科の先生から『生徒の態度に落ち着きがみられるようになった』と聞く」と授業の効果を説明する。

 水族館は理科の知識だけでなく、生きた教材を通して自然への目を養い、生徒自身の心の成長にもつながっている。

(写真と文・野田貴之=愛媛新聞)



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