中国新聞オンライン
都心の静寂 地下釣り堀'06/7/14

静寂を打ち破って金魚が跳ねる。日が差し込まず、鳥のさえずりも聞こえない都会の朝のひとこまだ(東京都中央区銀座)
ニッポンの朝  「ちょっと銀座で釣りしてくるよ」。高級ブランドショップや老舗デパートが軒を連ねる東京・銀座で今、二十四時間営業の釣り堀が人気スポットとなっている。

 「US・MART銀座店」。店内の美容院やカラオケ、インターネットカフェが「すべて百円から」が売りで、コイや金魚が放たれた地下の釣り堀も十五分百円。田口喜啓社長(41)が「サラリーマンのオアシスのような場所を」と発案した。

 終電間近になると、遊び疲れた若いビジネスマンたちが、つかの間の静寂を求めてやってくる。水槽のろ過機の音だけが響く地下室で、瞑想(めいそう)にふけるかのように静かに釣り糸を垂れる。

 再び太陽が昇り、都市が目覚めるころ、一人、二人と銀座の街に消えていった。

(写真と文 嶋邦夫=東京新聞)

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