中国新聞オンライン
復活の港 信号旗力強く'06/7/24

視界の悪い朝もやのなか、チェッカーフラッグを振り巨大船を呼び入れる(神戸市東灘区向洋町)
ニッポンの朝  「ブオーッ」。朝もやに汽笛が響く。係船作業員の打ち振るう白紺チェックの信号旗が、次第に大きくなる船影を岸壁へと誘導する。

 阪神大震災から復活したミナト神戸。早朝、コンテナ船や自動車運搬船が続々と入港する。なかには総重量十数万トンを超える巨大船も。港外で水先案内人が乗り込み、タグボートが小技を効かせ、そしてこの旗が着岸地点の目印となる。どれだけ機械化が進んでも、最後は人が頼りだ。

 船から投げ降ろされたロープを岸壁につなぎ止め、作業は完了。休む間もなく次の受け入れ準備にかかる。「忙しさは震災前に戻った。わしら頑張っとるで、と世界の船乗りに伝えたいんや」。ベテラン作業員はそう言うと、もやを払うようにまた威勢よく旗を振る。

(写真と文 大山伸一郎=神戸新聞)

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