サンゴ漁 一獲千金の夢 | '06/7/26 |
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「深海の宝石」を求めて網をたぐる。期待が高まる一瞬だ(土佐清水市沖)
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船は真っ暗な海上を進む。足摺岬灯台の灯が見えるか見えないかという沖合まで来た。大海原のあちこちでいさり火が揺れる。東の空がうっすら明るくなるころ、「どぼん」と音をたてて仕掛けが沈められた。
古くからサンゴの産地として知られる高知県土佐清水市沖で現在、操業しているのは三十隻近く。土佐清水サンゴ船船主組合長、笹本忠孝さん(63)の第八喜孝丸(四・九九トン)に同乗した。
水深百メートル以上の海底に網を下ろし、岩から生えたり、折れて海底に転がったサンゴを絡め取る。すべてを一人で行うため重労働だが、「大きなサンゴはめっきり少なくなった。けんど相場の変動もあって、一獲千金を狙う楽しみはあるね」と笹本さん。
何度目かに引き揚げた網の中に、待望の深紅の小枝が一つ。朝日を浴びて輝くサンゴは、黒潮がはぐくんだ「深海の宝石」に思えた。
(写真・飯野浩和、文・福田仁=高知新聞)
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