エビもち コメどころのごちそう | '04/11/16 |
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空いりしたエビにしょうゆを加え、もちとからめる高橋さん
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むっちりとしたもちの食感と、プリッとした川エビの歯ごたえが楽しめるエビもち。空いりしたエビと、しょうゆをからめただけの素朴な味わいが魅力の宮城県北特有のもちだ。
エビのほのかな甘味、食卓を彩る鮮やかな朱色、そして他のもちに比べて作る手間がかからない。「三拍子そろったもち料理ね」。直売所にもちや漬物などを出している高清水町の主婦高橋絹代さん(65)は言う。
同町を含む宮城県北部は肥よくな耕土と水に恵まれた昔ながらのコメどころ。もちが一番のごちそうで、農作業の区切りや祝い事、季節の節目と、何かにつけてもちが出る。
「腹持ちするので力の源だった」。高橋さんが子どものころは、十日に一度はもちを食べた。
当然、種類は増える。あんこやきなこ、納豆、ずんだ、くるみなどの「定番」に加え、焼きドジョウを使ったふすべもち…。
そうした中、渡り鳥の飛来地でラムサール条約登録湿地の伊豆沼をはじめ、ため池や用水路で豊富に捕れたのが川エビ。その身近な食材が、コメどころのもち文化と結びついた、との見方には誰もが納得する。
今では、家庭でもちをついて食べる機会は少なくなった。それでもエビもちは、地元スーパーではあんこもちなどと一緒に店頭に並ぶ。
「結婚式などのお祝い事にも欠かせない」と高橋さん。「甘いもちの代表があんこもちなら、エビもちはしょっぱいもちの王様。だから今も食べ継がれるんです
(河北新報)
<メモ>川エビは全国の河川や湖で普通に見られるエビ。ラムサール条約登録湿地、伊豆沼・内沼(宮城県迫、若柳、築館町)でよく捕れたが、近年はブラックバスの影響で激減。もち加工店など業務用には霞ケ浦産が増えている。関西では釣りえさとして一般的。
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