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たこ飯 海峡の恵みを炊き込む'04/11/22

「炊き上がりのこの味がなんともいえなくて」。自慢のたこ飯を手に笑顔の大里さん(右)たち
おふくろの味 北から南から  「さ、たこ飯しよか」。大里千枝子さん(72)宅の台所から、湯気と香りが漂い始めた。

 旬のタコの味を年中楽しめるよう、漁師の家庭が編み出した干しだこを一度火であぶり、風味を引き出す。食べやすい大きさに削り、薄口しょうゆ、みりん、酒で味付けして炊き込む。

 調味料の割合や工夫で、家庭の数だけ味があるという。生のタコを使ったり、炊いたご飯に混ぜ込む方法もある。

 炊き上がった。軟らかくなったたこの味が、しょうゆの香ばしさとともに口に広がる。

 カニやエビなどの豊富な餌を食べ、明石海峡の潮にもまれ、身の引き締まった明石ダコ。漁最盛期の夏に、水揚げしたばかりを、天日干しする。歯ごたえのある身は、太陽の日を浴びて味わいを増していく。

 味付けはシンプルだが、干しだこづくりなどに手間がかかる。「最近の家庭ではよう作らん」と大里さん。そこで、同じ西二見漁協婦人部の大西洋子さん(61)、岸くにゑさん(71)の協力で「浜のチエちゃん秘伝の味・たこめしの素」を商品化した。

地図  干しだこのおいしさを保つため、あぶった後で食べやすいよう細かく削り、冷凍。だしは熱処理などを施し、添加物は使わない。ご飯と一緒に炊くだけでいい。

 親しみやすい味になるよう試行錯誤し、二年がかりで完成させた。各種コンテストで入賞、味はお墨付き。大里さんの家の味が手軽に楽しめる。新たな知恵で伝統が受け継がれていく。

(神戸新聞)

<メモ> 大里さんのレシピは秘伝だが、一般的には米三合(〇・五四リットル)に干しだこ約三十五グラムを加え、しょうゆと酒(みりんや砂糖を入れる場合も)を同じ割合で作っただしで炊き込む。「たこめしの素」は一袋(三合分)九百円。TEL078(942)6014(大里さん)


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