かしきり 食感とろり 木の実豆腐 | '04/11/27 |
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昔ながらの家庭の味にこだわった伊予さつまのみそを練る本山さん
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高知県は森林が県土の八四%を占める。その日本一ともいえる山の恵みを生かしたように、カシの実で作った豆腐が「かしきり」。広葉樹が豊かに広がる県東部の山間地域や安芸市などで作られる。
「見よう見まねで作ってみたら、『ねえさん、わしが作ったがより、上手やいか』ゆうてくれてねえ」。同市入河内の小松昭美さん(62)は四十年ほど前、隣のおばあさんから教わった。
当時はカシの実を石臼でひいていたが、その後、ミキサーが登場し、効率よく、きめ細やかなかしきり作りが可能になった。カシの実が持つでんぷん質の作用でぷるんと固まった食感はとろり滑らか。かしきり自体に味はほとんどない。
たれの味は地域や作り手によって違うが、入河内では手作りのみそと地元特産のゆず酢、ニンニク、かつお節など、地元の山の幸と海の幸をぜいたくに使う。濃厚なたれのうま味と森の滋味とが混然一体となり、健康食にも酒のさかなにもうってつけの逸品になる。
土佐伝統食研究会の松崎淳子代表によると、十六世紀末、土佐を統一した長宗我部元親が秀吉の朝鮮侵略に同行し、帰国する際、連れ帰った朝鮮の武将、朴好仁一族が豆腐やニンニクとともに伝えたという。
最近、「健康食」としてテレビ番組で全国に紹介され、県外から予約のほか、「作り方を習いに行きたい」との依頼も来る。しかし、天然物だけに、すべての要望に応えられないのが小松さんらの悩みだ。
(高知新聞)
<メモ>
アラカシの実を皮が割れるまで天日干し。水に浸した後、ミキサーに。水にさらして渋みを抜き、水を加えて煮詰め、器に流し固める。毎年十二月と二月、安芸市入河内の東川農林センターで開く「ふれあい市」で販売。1パック三百円。同センターTEL0887(32)3031
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