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草原渡る風も香ばしく 焼きトウモロコシ売り(熊本県阿蘇)'02/9/3

焼きトウモロコシの香りに誘われて放牧中の赤牛が寄ってきた(阿蘇山の草千里)

道の辺に食あり  火の国・熊本のシンボル「阿蘇山」。ふもとのJR阿蘇駅前から山頂の火口辺りまで、草原の中を阿蘇登山道路が走る。車を飛ばすと、所々、窓越しに「牛馬優先」の文字。ここでは、車よりも牛や馬の方が主役なのだ。

 さわやかな初秋の阿蘇。道路沿いに、名物のトウモロコシ売りの店が出る。十数年前まで八軒あった店も、ドライブインの増加などで今では三軒になった。阿蘇町の坂本広子さんは「商売を始めて約三十年。年ごとに出店の場所を変え、とうとう山頂近くまで登ってきてしもうた」と冗談交じりに話す。

地図  焼きトウモロコシの香ばしい香りが辺りに漂う。「モーたまらん」と、草千里で放牧中の牛が寄ってきた。肥後の赤牛だ。歩道を悠然と歩く姿に、時の流れが一瞬、緩やかになった。

(写真と文・合原光徳=西日本新聞)


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