魚行商の女性から伝授 山里に根付くサバずし(島根県金城) | '02/9/6 |
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「働いているから元気でおれるんよ」。毎朝5時に起き、長男の壮一さん(52)とサバずしを作るキミさん(左)(金城町波佐)
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浜田市から広島県芸北町へ抜ける「浜田広島街道」(現国道186号)は、かつて行商の女性たちが、中国山地の農家に魚を届けるためにたどった道だった。
サバずしは、背割りした一匹を丸ごと巻いた姿ずし。塩漬けした後、骨抜きし酢に漬け、皮をはぎ三日目にやっとショウガやユズなどを散らして、すしご飯に巻く。一日に二十本ほどを作る。常連や観光客が買い求め、昼すぎには売り切れる。
中ほどの島根県金城町波佐に、名物「サバずし」が残る。明治屋旅館の坪屋キミさん(82)が戦後すぐ、魚や乾物を入れたブリキ缶を背負い「カンカン部隊」と呼ばれた魚の行商の女性から教わった。
「お客さんが当てにして来られるのでやめるわけにはいきません」とキミさん。海の味覚が、山里でふるさとの味として根付いた。
(写真と文 田中慎二=中国新聞)
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