中世の田園絵巻を今に 新庄のはやし田 | '05/5/20 |
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田植え作業の合間におむすびをほおばる早乙女たち(広島県北広島町)
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木立に囲まれた田の水面(みなも)に、赤と紺のかすり姿が映える。体をしなやかにくねらせて打ち鳴らす太鼓や笛にはやしたてられ、一列に並んだ早乙女が苗を手植えする。代かきする牛四頭が豪快に泥を飛び散らせると、会場に歓声がこだました。
豊作や無病息災を願って、広島県北広島町で毎年繰り広げられる国重要無形民俗文化財「新庄のはやし田」。中世の「田植草紙」に見られる田園絵巻を地道に伝承する。
小休憩で配られるむすびは、泥がついた手でも食べられるように新緑のホオ葉でくるむ。重労働の田植えを少しでも楽しもうとする、先人の工夫がちりばめられている。
早乙女を務めた地元の小学六年上長者央香さん(11)は「収穫して食べるのが楽しみ」。泥まみれの笑顔は、黄金色の穂が垂れる秋を待ちわびる。
(写真・荒木肇、文・岡本玄=中国新聞)
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