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ナキウサギ 越冬準備 岩場は冷蔵庫 '07/10/30

初雪が舞い降りたガレ場で迫りくる冬本番に備え貯食場へと餌を運ぶナキウサギ(北海道鹿追町然別湖畔)

秋多彩  既に雪が降り始めた北海道中央部の大雪山系。「氷河期の生き残り」と呼ばれ、国内では北海道だけに生息するナキウサギが、長い冬を越す準備に奔走している。

 冷涼な気候を好み、山中の岩場で暮らす。体長一〇―一五センチの体から発する鳴き声は「キチーッ、キチーッ」と鋭く短い。冬眠はせず、秋にイソツツジの葉などをあちこちの岩の下などに蓄え、冬に備える。紅葉が山麓(さんろく)まで降り、山頂付近が雪に覆われるころ、ナキウサギの食糧集めは追い込みに入る。

地図  晩秋のおだやかな午後、貯食に駆け回るナキウサギに出会った。岩の上には数日前に積もった雪が解けずに残る。ひっそりとした冷気に包まれた山中で、いつもながらのナキウサギの秋が深まっていく。

(写真と文・守屋裕之=北海道新聞)


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