黄八丈 島の自然 織りなす伝統 | '07/11/02 |
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天日干しされる黄八丈織物。南洋の光を受けて、赤みがかった樺色が鮮やかに浮かび上がる(東京都八丈島八丈町)
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都心から南に約二百九十キロ。黒潮の海に浮かぶヒョウタン形の島が伊豆諸島・八丈島だ。
「むかし此絹を織り出せしより島の名になれるべし」。本居宣長の随筆集「玉勝間」に記されるなど、島は古くから絹織物の産地である。
島に自生する植物だけを使った草木染の絹糸を織った「黄八丈」。黄を主色として樺(かば)、黒とあるが、近年はタブノキの樹皮を染料にした樺の需要が高いという。絹糸の出来上がった秋、島は染め上げと織り上げの最盛期を迎えている。
島に二軒の染元の一つ「黄八丈め由工房」の山下誉さん(66)は、「黄八丈は雄大な自然からの贈り物。この自然と伝統を永く残していきたい」と話す。手織りの音が響く工房の庭先。織り上げられた反物が陽光を受けて輝いていた。
(写真と文・梅津忠之=東京新聞)
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