黒酢 じっくり「壺畑」で熟成 | '07/11/14 |
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黒酢づくりに使う陶器の壷。地元では「壷畑」と呼んでいる。後方は桜島(鹿児島県霧島市福山町)
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錦江湾を挟んで桜島を望む鹿児島県霧島市福山町の高台に、黒い壺(つぼ)がずらりと並ぶ。その光景を地元では「壺畑」と呼んでいる。壺の中に入っているのは黒酢だ。
福山地区の黒酢造りは約二百年前に始まり、現在は八つの醸造元がある。その一つで老舗の坂元醸造は、十カ所の壺畑に五万二千個の壺を置く。同醸造では同地区の下にある姶良カルデラの水脈からくみ上げた地下水に蒸し米を入れ、米こうじを混ぜて発酵、熟成させて黒酢を造る。仕込みは春と秋の年二回。十月は仕込みの最盛期でもある。出荷までの約一年間、職人が毎日、香りや色を確認していくという。
健康ブームに乗り、短期間で大量生産する新規参入組も増えた。だが、関係者は「手間暇かけた福山の黒酢はまろやかさが違う」と胸を張る。
(写真と文・永田浩=西日本新聞)
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