函館フェリー 海峡は買い物ルート | '04/10/12 |
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「ぱあゆ」を下りて函館市街を目指す乗船客。船は路線バスの感覚だ(函館フェリーターミナル)
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北海道の海の玄関口、函館。七千トンを超える船が行き交うフェリーターミナルに、東日本フェリーの「ばあゆ」(一、五二九トン)が入ってきた。トラックや乗用車に続き、乗客が降りてくる。出口で顔を合わせた知り合い同士が「オメも来てたか」と声を掛け合う。
「ばあゆ」は、津軽海峡で隔てられた下北半島の青森県大間町と函館の間を、一時間四十分で結ぶ。利用者は大間の人間が目立つ。
なにしろ大間町は、北海道のテレビ番組の方がよく映る。町民は通院、遊び、買い物に路線バスのように船に乗り、最も近い都会・函館に通う。
月曜朝の大間発第一便の座敷は、病院通いの客で埋まる。竹内定子さん(71)は「函館なら医者も選べる。寝てれば着くしね」。海峡を越えるという大げさな感覚はない。
「フェリーさ大事で大事で、無くなったら大変」。大間の人々の生活を支える小さなフェリーは、今日も海峡を渡る。
(写真と文・伊丹恒=北海道新聞)
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