中国新聞オンライン
たこフェリー ど派手 さすが関西'02/9/19

フェリーに描かれた明石ダコ。巨体をくねらせ、海峡を渡る(神戸市垂水区沖)

渡しの風景  愛嬌(あいきょう)たっぷりの巨大タコが、瀬戸内海屈指の激流の海峡を巧みに泳ぐ。勢いそのままに、太くて長い足がマンション群にまで絡みつきそうだ。ずばり「たこフェリー」(一二九五トン)。地元名産を強烈にアピールしながら二十四時間、子午線の街・明石市と淡路島・淡路町岩屋間の六・二キロを二十分で結ぶ。

 一九九八年、明石海峡大橋の開通でフェリーの利用者は激減し、一時は存続の危機に直面した。しかし、災害や事故で橋が不通となった時に備え、地元自治体などでつくる第三セクターが運営を引き継いだ。現在、年間約三十六万台を運ぶ。

地図  十石舟は一九九八年、伏見観光協会が復活させ、現在は地元のまちづくり会社「伏見夢工房」の手により定期運航される。

 割高の自動車道を敬遠し、物流ルートとして利用されるほか、圧巻の”大橋くぐり”は観光の新名所になった。「子どもにせがまれて」と、四国旅行に向かう大阪の家族連れ。初めて乗船したという東北の男性(32)は、ど派手なデザインに笑みを浮かべて一人うなずく。「さすが、関西!」

(写真と文・中西大二=神戸新聞)


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