三津の渡し 80メートル結んで500年 | '02/9/22 |
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暮れてゆく港内を結ぶ「三津の渡し」。大人から子どもまで利用者は幅広く、自転車通学の学生らも利用する(松山市の三津港)
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愛媛県松山市の西部に位置する三津港。離島や、本州便が発着する海の玄関口だ。ずらりと漁船やボートが並ぶ港内を、五百年近い歴史を持つ「三津の渡し」がのんびりと結んでいる。
渡しは室町時代、食料輸送などに利用されたのが始まり。対岸までわずか約八十メートルだが、迂回(うかい)すると二キロを超す。利用者は少ない時だと一時間に二、三人。発着場に立つと、対岸からのろのろと迎えに来てくれる。
「昔は魚市場が近くにあって、行商人らが行き来しよった」「島からの買い物客らで、船がいっぱいになることもあったんよ」。発着場の近くで、デビラ干しのお年寄りらがひと休みして、にぎやかだった漁師町の活気を懐かしんでいた。
この渡しは市営で無料。映画「がんばっていきまっしょい」の舞台になり、観光客も訪れる。夜は七時まで運航されている。一気に暮れる秋の夕景に浮かぶ渡船の明かりは、風情たっぷりだ。
(写真と文・酒井俊宏=愛媛新聞)
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