巡航船 児童と船長、弾む会話 | '02/9/23 |
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通学の小学生を乗せて湾内を進む巡航船。海辺の住民の大切な足だ(高知県須崎市の浦ノ内湾)
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四方の山並みを映し込んだ静かな内海を進む巡航船。海辺に点在する集落をミシンで縫うように航跡が描かれていく。
ここは高知県中部にある須崎市の浦ノ内湾。横浪半島によって太平洋と隔てられた水路のような湾内を一日上下四便ずつ、二隻の市営巡航船が運航している。
昭和二十三年から就航しているこの船を、住民は「じゅんこう」と親しみを込めて呼ぶ。
「じゅんこう」がにぎわうのは朝の第一便。小学校に通う子どもたちが乗り込んでくる。船長さんを囲んで学校の話に興じたり、眠そうな目をこすりながら友達とおしゃべりしたり。船内に明るい空気が満ちていく。
やがて船は学校のある集落で子どもたちを下ろし、病院通いのお年寄りの待つ次の集落へ。航跡が朝日に美しく輝く。
「子どもらは『じゅんこう』が好きよね」
船着き場に子どもを見送りにきたお母さんの言葉を思い出した。
(写真と文・飯野浩和=高知新聞)
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