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クレーンの渡し 大海 船と島つなぐ'02/9/26

旅客船「大東」からゴンドラに乗って島に渡る乗客(沖縄県北大東島の北大東村西港)
渡しの風景  旅客船「大東」から人専用のゴンドラに乗って岸壁へと移動すると、眼下に島を囲む大海のパノラマが開けて一瞬そう快になる。

 沖縄本島から東へ約三百八十五キロ、太平洋上に浮かぶ周囲約十四キロの北大東島は、絶壁に囲まれる。那覇市から五日に一便程度の往復で、人や生活物資を運ぶ。船は接岸できずに岸壁から七、八メートル離して係留され、人も荷物もクレーンでつり上げて下ろす。港湾業務関係者は「なぎの日も船は、深海から寄せるうねりを受け、常に揺らぐ状態。タラップを掛けるのは危険だ」と説明する。

地図  現在の移動式クレーン(五〇トン)を使用したのは十九年前。同島に座礁した米国の大型貨物船の鉄製マストを岩盤に固定し、荷役作業を果たした時代もあった。

 船と島とのゴンドラによる渡しは、島の厳しい自然と歴史を象徴している。最近は、一度は乗ってみたい、という観光客も増えた。

(写真と文・山城博明=琉球新報)
=おわり


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