中国新聞オンライン
ガラス実験器具 高精度 芸術の域'03/6/17

ガスバーナーの炎に向かい、経験と知識が指先に凝縮される。厚さ数ミリのガラス管が、見事な手業で変幻自在に形を変える

技 新世紀の匠たち  未来につながる基礎研究を支える「技」がある。

 東北大学多元物質科学研究所(仙台市青葉区)のガラス工場。一九四五年の創設以来、技術力は国内の大学で最高レベルを誇る。次世代をテーマにした研究分野に対応し、”職人たち”はガラス製の実験器具作りに知恵を絞り、腕を振るう。

 普段、目に触れることのない精密蒸留装置や高真空ポンプ、耐圧容器…。

 独創的な実験ニーズに合った装置は、市販されていないのが常。製作には、研究者との綿密な討論や、「無」からの発想、ミリ単位の精巧さが求められる。「つきつめれば芸術的な要素が大きい」(山田弘・文部科学技官)という。

 ガラス工場の卓越した技術は、「実学の東北大」を支える研究者とともに、未知の世界へ挑む。

(写真と文・門田勲=河北新報)


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