京人形頭師 紅差す筆遣い繊細 | '03/6/23 |
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イタチの毛を使った手作りの筆で紅を差す。白い肌とのコントラストが際立つ
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京人形の表情は、何よりも口元で決まるという。「人形がいつまでも大事にかわいがってもらえるよう、内から何かを感じられるようなものに」と思いを込めて、年輪を刻んだ手が繊細な筆遣いで唇に紅を差す。
市民が憩う京都御苑を望む閑静な住宅街。京都市上京区の町家に、京人形の頭師、川瀬猪山さん(74)の作業場がある。
気品と優雅さで見る人を魅了する京人形づくりは、京都の他の伝統産業と同様に完全な分業制だ。頭師のほかに髪付け師、手足師、着付け師、小道具師などがある。
年月を経てなお輝きを増すという肌の白さは、カキの殻でできた胡粉(ごふん)を何層にも塗り重ねて仕上げる。
時間と手間を掛けて、江戸時代から受け継がれてきた技が人形にいのちを吹き込んでいく。
(写真と文・梶田茂樹=京都新聞)
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