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和ろうそく 温かい癒やしの炎'03/6/26

熱い蝋を何度も重ね塗りし、大森さんの手はグラブのように大きくなっていく
技 新世紀の匠たち

 「ザッ、ザッ、ザッ」―。手の平でリズミカルに芯棒(しんぼう)の回転を繰り返す。溶けた蝋(ろう)が付着する指先は、瞬く間にグラブのよう。二百余年の伝統を受け継ぐ「和ろうそく」作りは勘と長年培った技の世界だ。

 愛媛県内子町で、伝統製法を守り続ける職人の大森太郎さん(53)は、「大森和蝋(ろうそく)店」の六代目。

 工程は、和紙とイグサで作った芯に竹ぐしを差す。その後、約四五度に溶かした蝋を素手ですくい取り、芯棒を回転させながら、塗り重ねること約八回。ウグイス色の和ろうそくが出来上がる。

 炎に温かみがあるため、最近は部屋のインテリアとして人気が高い。大森さんが作る「癒やしの炎」は後世まで、ともり続けることだろう。

(写真と文・村上健二=愛媛新聞)


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